グリーンポプリのなりたち０４．胃がんを克服

2度目のがん　胃がんを患う

父は１９９５年には２度目のがん（胃がん）を患うこととなりました。そのときの第一発見者は私と父の弟でした。

当時私は一人暮らしをしておりました。私は２５歳くらいでしたが、このとき父とは仲が悪かったのでほとんど顔を合わせることはありませんでした。でも仲が悪いとは言っても本質的に嫌いなわけではなく、むしろ心底では愛していたわけです。

久々に父の顔を見て唖然

そんな折、従兄弟の結婚式に家族全員で出席することとなり、久々に父の顔を見たのです。その顔色は土気色でまったく生気がなく、しかも如何にも辛そうで顔そのものが歪んでいました。「あの顔は絶対におかしいよ。絶対に病気だよ。早く検査したほうがいいよ。一緒にいて気が付かなかったの？」と母に詰め寄るとともに父に言いました。何年ぶりかにあった父の弟もそう思ったようで、「あんちゃん早く病院で検査するべきだよ。」と言ってくれたそうです。そこで重い腰をあげて病院にいったところ「胃がん」だったのです。

病院治療を行わずに治すことを決意

この時も父は病院治療を行わずに、治療器や健康食品で治すことを選択しました。ただ前回の肺がんの時は会社を辞めて闘病に集中できました。今は自営業ということで休むわけにはゆかず、仕事をやりながらの闘病になります。

仕事のやりすぎで病気になっているのでは？

父はいわゆる≪団塊の世代の仕事人間≫でした。当時の私には「なんで自分の体を犠牲にしてまであんなに仕事ばっかりやるんだ。」と否定的な感情を持っていました。私は父の姿をみてゆくうちに、病気と言うのは日常の生活の歪みの蓄積からおこると考えるようになっていました。仕事のやり過ぎが父を病気にしているとさえ、考えるようになっていたのです。ですから「この仕事を継続しながら片手間で治療器や健康食品を利用した所で本当に治るのだろうか？」と思いました。

心配の心とは裏腹に口から出る言葉はキツイ言葉ばかり

それに家庭内療養を始めましたが≪治療をしている≫と言ったって、仕事に手を抜かない父でしたから、≪遠赤外線サウナに入って温めている≫といったって中途半端ですし、私にはとても真面目にやっているようには見えなかったのです。これは私自身も心配で不安になるので、「何でもっと真面目にやらないんだよ。！」、「もっと仕事をセーブしろよ！」、「そんなに仕事ばっかりやっているからガンになるんだよ！」とか、相手をなじる様なきつい物言いしかできなかったんです。（お父さん当時何もわかっておらず好き勝手なことを言ってごめんなさい。）

俺はこの仕事という舞台で死ねれば本望だ。ほっといてくれ。

これはどうしても父に生きていて欲しかっただけであり、その愛情の裏返しと、恥じらいから、あのような言い方しかできなかったわけです。そしてどんどん父との溝が深くなって、しまいには「俺はこの仕事という舞台で死ねれば本望だ。ほっといてくれ。」とまで言わせてしまったのです。今から思い出しても非常に辛そうな顔でしたね。病気だけで辛いのではなく、孤独感と言うか。

今となれば父の気持ちもわかるのですが、「一体誰のために身を粉にして仕事をしていると思っているんだ！お前がしっかりと自立をしていたならばここまで身を粉にして仕事をしなくてもいいんだよ！」なんて言いたかったでしょうね。そこまで感じ取れずに、酷いことを言っていました。

北風ではなく南風で向かわなければダメだよ

あまりにも溝が深まり家族崩壊のような感じになってきたときに、母が私を気功の先生だか誰かの先生のところに相談に連れていったんです。そしたら「君は本当はお父さんのことを好きなんだろ。生きていてほしいんだろ。君は本心とは違って北風で当たっているから相手もより一層意固地になるよ。北風ではなく南風で向かわなければダメだよ。」と言われました。

恥ずかしい気持ちを超え本音で話す

なるほど全くその通りで当時父とはいつも斜に構えた感じでしかしゃべっていませんでし、会うたびに喧嘩でした。でも「これではダメだな。こんなことをしていたら死んじゃうな。しかも不仲の中で死んじゃうな。」と思い、自分の本心を正直に話すことを決意しました。

父ちゃんのことを愛しているから何とか生きていてほしい

今このようにお話するのも恥ずかしいくらいで、当時父と面と向かってこのようなことを言うのはとても恥ずかしかったのですが、「僕はいまだに自立していないし、まだまだ父ちゃんの助けが必要なんだよ。そして父ちゃんのことを愛しているから何とか生きていてほしい。だから治療を頑張って欲しいんだ。」と言いました。

本当に辛くて歪んでいた父の表情が見る見るうちに柔らかくなったんです

そしたら今でも忘れません、本当に辛くて歪んでいた父の表情が見る見るうちに柔らかくなったんですね。そして私は「会社を辞めて父の手伝いをするからできるだけ仕事をセーブして治療を行ってくれないか？」と父にお願いしました。“私が手伝う”と聞いた父はとても喜んでいましたね。そして「頑張る！」、「絶対に治す！」といって、やる気に満ちていました。治療にも滅茶苦茶力が入って、ガンを克服することができたのです。

人って愛情だな

このとき「人って愛情だな。」と痛感いたしました。

気持ちこそがドライバーとなって牽引するのです

だから私は父が４回目のがんになったとき、何とか父のやる気を引き出そうと一生懸命温熱ケアを行いましたし、カラオケ大会もやりましたし、一緒に温泉にもいきました。私は人間が病気を治す力は気持ちがドライバーとなって牽引してゆくものだという強い確信があったからです。