父のがん克服体験を間近で見ていてわかったことがありました。がんになってゆく過程とがんが治ってゆく過程は同じ道のりの往復である、ということに気が付いたのです。「がんというのは、食生活、ストレス、休息、運動習慣など生活習慣の歪みの蓄積に他ならず、それを正してゆけば手術や抗がん剤など特別なことを行わなくても治る。」という、ごく当たり前の道理に気が付いたのです。がんは特別な病気ではなく、私たちの日常に根ざした生活習慣病であるということを痛感したのです。
そのことはつまり治療にあたっても特別なことを行うのではなく、道理に沿って日常生活の歪みを正してゆけば正しい方向性へと戻ってゆくということです。でもこれまでの医学ではこの部分が軽視されているように思えます。
病気は冷え性、動脈硬化、高血圧、ガン、脳梗塞、心臓病、腎臓病、肝臓病…症状に対して固有の病名がつけられ細分化・専門化(ミクロ化)されています。そしてそれに対して薬も細分化され、手術など治療方法も固有に細分化されています。この考え方の中に日常生活の歪みを正すなど普遍的、マクロ的な要素は少しもありません。
ただ父のがんは細分化・専門化(ミクロ化)された治療を行わずとも、生活習慣を改め腸内環境を改善し、体を温め血流を良くして発汗するという、ごくありふれた普遍的な方法(マクロな方法)で治ったのです。
そう考えると病気というのはそこまで細分化(ミクロ化)して捉える必要があるのだろうか?と思うのです。高血圧だから血圧を下げて、糖尿病だから血糖値を下げて…。このようにミクロで専門化された対策を打ったとしても、病気が本質的に治るわけではありません。降圧剤を飲み始めたら一生ものです。本質的に治らない対策を行う必要ってあるのだろうか?
高血圧といったって、血圧を上げなければならない事情があるわけです。たとえば動脈硬化やゴースト血管など血管の老化で流れにくくなっているなど。食生活が悪い、腸内環境が悪い、ストレスが多いなどで、血液の質が悪いのかもしれません。体が凝っていたり冷えていて血流を悪くしているかもしれません。必ずこれらの幾つかは当てはまるはずなのですが、これに対して対策せずしてただ単に血圧を下げたところでどうなんでしょう。これこそ「対症療法」というものであって、堤防が決壊したらその部分を土嚢でふさいでいるだけ。
糖尿病にしても血糖値を下げますが「なぜ血糖値が高いとダメなのか」という本質を見られていますか?過剰な血糖がなぜダメなのかというと、≪糖化≫といって過剰な糖により血管がボロボロに傷つけられてしまう点にあります。なので糖尿病の本質は血管を老化させる血管病なのです。動脈硬化、高血圧、脳梗塞、腎臓病といった糖尿病の合併症を考えると、そのことの裏付けとなります。
さらに≪血管の老化≫、≪血流悪化≫は、≪冷え性≫をはじめとして様々な病気の遠因となります。安保徹先生はがんの原因として≪低体温≫、≪低酸素≫、≪高血糖≫を挙げられていました。がんの方の多くに高血糖もしくは糖尿病の帰来があることも、医学的に明らかになっています。これでがんの成り立ちも見えてきませんか。日常生活のなかで糖や活性酸素が多い生活を送っていることで血管が傷つけられ、血流が悪くなり、低酸素、低体温になるイメージが見えてこないでしょうか。
このようなことから「樹木でいえば日常生活の歪みが太い幹として根底にあって、冷え性、動脈硬化、高血圧、ガン、脳梗塞、心臓病、腎臓病、肝臓病もその幹から枝分かれした枝葉末節に過ぎない。」と考えるようになったのです。
太い幹というのはおそらく≪糖化≫や≪酸化≫、≪腸内環境の悪化≫、≪コリの蓄積≫などによる、≪血管の老化≫と≪血行不良≫だと考えます。そのため私はこれまでこの点を如何に改善するか!を追求してきたのです。